子供の成長に大きな影響を与える?しなやかマインドセットとは

mentality-lab 編集部

「マインドセット」と聞くと、なんだか難しくて大人向けのもののようにもとれますが、実はこのマインドセットは子供の成長にも大きな影響を与えると言われています。今回は子供の成長にとって重要なマインドセットについて、考えてみたいと思います。

マインドセットとは

マインドセットとは、各個人の思考パターンや固定化された考え方、信念、心構えのことを指します。詳しくは下記記事で取り上げていますので、是非目を通してみてください。

マインドセットの種類

マインドセットの研究をしているスタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授の研究によるとマインドセットは下記の2つに分類ができます。

  • 硬直マインドセット=fixed mindset
  • しなやかマインドセット=growth mindset

「硬直マインドセット」とは、自分の能力は生まれ持ったもので変わらないと考える人の思考パターンを指します。逆に、「しなやかマインドセット」は、持って生まれた才能や興味などは個々人で異なるが、努力と経験を重ねることで誰でも大きく伸ばすことができるという思考パターンのことを指します。

そして、この「しなやかマインドセット」こそが子供にも是非身につけてもらいたいものとなります。

しなやかマインドセットとは

しなやかマインドセットは、具体的には、どのような思考なのか。個人的にとてもわかりやすく記載されているなと感じる本の表現から取り上げてみたいと思います。

能力: 練習によってレベルアップできる。才能や素質、技量も努力しだいで伸ばせる。

努力: 何でも試してみることには意味がある。努力することは、何かを上手になるたった一つの方法だ。

失敗: するのが当たり前。はずかしがる必要はないし、知らなかったことに気づけるので、むしろ力をつけるチャンスになる。

フィードバック: 人の意見を聞くのは大歓迎だ。だってどこが間違っているかわからない限り、上達できない。

チャレンジ: 大好き。新しいことを試さないと何も身につかない。最初はうまくいかなくたって全然OK。きっと次には、次がダメならそのまた次には、うまくやれるようになるはず。

ほかの人の成功: どうやって目標を達成したのか、めちゃくちゃ興味あるな。どんな風にやったんだろう?マネできるように知りたい!

引用元:マシュー・サイド『きみはスゴイぜ!一生使える「自信」をつくる本(飛鳥新社、2020年)

私もそうですが、凝り固まった大人の頭でこれを見ても、「あーそうだな、こういう思考で日々過ごさなきゃな」と気づかせてくれます。特に未来のある子どもたちには、失敗を恐れず、いろんなことにチャレンジして、失敗してもそこから学び、努力を続けることでよい結果であったり、自分によい変化が生まれるものだということを、むしろ当たり前のように理解することで、先の見えない今の時代でも強く生きていけるように成長するのではないかとも思います。

子供にとっては、言葉で伝える、教えるということよりも、「経験させる」ことがしなやかマインドセットを学ぶ近道になるかもしれません。成功体験でなくてもいいのです。むしろ失敗から学ぶ、そこから努力して自分が変わった、「できなかったことができた」という経験の積み重ねです。「逆上がりができた」とか、「ひらがなを全て書けるようになった」とか、小さな成功体験でも十分だと思います。そういう意味では、子供の成長期というのは、失敗と成功の連続であり、しなやかマインドセットを育むにも格好の時期だとも思えてきます。

子供がしなやかマインドセットを身につけるために〜親の関わり方〜

子供のマインドセットを身につけるにあたり、親の子供への関わり方もとても重要であると言われています。子は育つと言われるように、たまたまその環境から、子供がしなやかマインドセットを身につけたということもあるでしょう。ですが、もし我が子にそのような思考を身につけて欲しいということなら、その近道となるような環境を可能な限り作ってあげたいと考える人もいるでしょう。そのような場合のポイントは3つあります。

  1. 新しいチャレンジをどんどんさせる(失敗させる)
  2. 褒め方に注意する
  3. 失敗したときのフォローの仕方に注意する

それぞれについてみていきたいと思います。

1.新しいチャレンジをどんどんさせる(失敗させる)

じっとしていては何も始まりません。もし子供が自ら「やってみたい」と思うことを伝えてくれたなら、可能な限りその思いを叶えてあげましょう。ダンスをやってみたい、ピアノを弾いてみたいなど、具体的なものがあれば、一日体験でもよいので経験させることが大切です。具体的なリクエストがないという場合は、可能なときには外に連れ出すなど、公園でも買い物でもよいので、さまざまな経験をさせてみます。子供の興味を刺激することから始めてみましょう。外出が難しい場合は、家庭内でのお手伝いやおもちゃ遊びでもよいので、新しいことにチャレンジできる環境を作ってみて下さい。

2.褒め方に注意する

一緒に過ごす中で、ぬりえが上手にできた!とか、ブロックで複雑なものを作ってみた!とか、子供なりに「やった!」と思うことがあれば、親にも報告してきます。そのような時にどのように声をかけてあげたらよいのでしょうか。しなやかマインドセットを育むという意味では、少しコツがあるようで、「できた!」ということへの結果ではなく、その過程を褒めてあげることが大切です。

親としても「すごいね!」と真っ先に口走ってしまいそうな場面ではありますが、ここで単に「すごい!」という言葉だけを投げかけるのではなく、「よく頑張ったね」「よく工夫したね」とかその過程を褒めてあげることがコツとなります。

単に「すごい!」とか「頭がいいね!」と言われ続けると、子供は自分の能力を褒められたと思い、失敗しないような行動をとるようになると言われています。これが後に「硬直マインドセット」の形成につながっていくわけです。

反対に、成功の過程を褒められることが続くと、その結果よりも、それまでの努力が認められていると感じ、努力することの大切さを学んで自ら努力できるようになるというのです。

3.失敗したときのフォローの仕方に注意する

成功したときの褒め方を気をつけるというのは、「褒める」ということもあり、まだ対応しやすいものではありますが、失敗したときのフォローの仕方というのは、相手が子供とはいえ気を使うし、やはり難しいものです。しなやかマインドセットにつながるフォローの仕方とは一体どのようなものでしょうか。

子供が何かの失敗をしたとき、思わず「あー。ダメだった…」なんて言ってしまいそうですが、その気持ちは心の中で叫んでもらって、当の子供に対しては、「“まだ”できなかったね」など今はダメでも、次チャレンジすればいいんだということを示す言葉をかけてあげることが大切です。

「失敗は成功のもと」ということわざの通り、失敗はして当たり前、チャレンジを続けていけばいつか成功する可能性はあるということを伝えてあげることで、努力を継続できるようになります。

小さなことですが、褒め方、フォローの仕方など、日々の声のかけ方一つでも、親の言葉というのは子供にとってのその後の大きな価値観へと結びついていくというわけなのです。声のかけ方というだけでなく、きっと子供は親の背中を見ているはずです。親自身がチャレンジする姿勢を見せる、失敗しても凹まない、むしろ笑い飛ばしてまたチャレンジするなど、その姿を間近で見せることが一番なのかもしれません。

まとめ

いかがでしたか?今回は、子供の成長に影響を与える「しなやかマインドセット」について取り上げてみました。もちろん、子供にとって重要というのですから、大人にとっても重要なものに変わりありません。子供の頃からこのようなマインドセットが身につけば、その後の人生でも挫折から這い上がりやすかったり、努力できるがゆえに成功することが多かったりとプラスに働くことは間違いないですが、もし今この記事を読んでいるのが、「硬直マインドセット」を持った大人の方だったとしても、これからでもマインドセットを変えるのは全く遅くはありません。是非自身のマインドセットに向き合う、よい機会となってもらえたら幸いです。

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マネジメント経験の中で人の成長と人生について思考するようになり、人それぞれに人生との向き合い方があることを知りました。この人それぞれの人生との向き合い方について多くの方に知っていただき、みなさんの人生をポジティブかつ豊かなものにしていただきたいという想いを持ってメディアを運営しています。
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